思ったより掛かる。家づくりの見落としがちな経費「付帯設備」

2022/4/15

皆さんは、家づくりのための「予算」には何が含まれていると思いますか? 建物の設計費や建築費、土地を取得するための費用など、パッと思いつく項目は多いでしょう。しかし、大半の方が見落としがちで、実は大きな費用となる項目があります。そんな忘れられがちな費用「付帯設備」について、今回はご紹介していきます。


家具、家電…。数百万にのぼることもある「付帯設備費用」


せっかくなので、ここでは実際に作成する資金計画書を見ながら説明していきましょう。これから家づくりをするなかで、何度も見ることとなる資料です。こちらの(C)と書かれた項目に、今回ご紹介する付帯設備が含まれています。 


 


「付帯設備」とは、建物に付属する建築設備のことを意味します。住宅における付帯設備としては、冷暖房や電気配線、照明などが挙げられますね。今回の資金計画書のなかにも、その付帯設備が記載されています。そのうち、特に重要かつ「家づくりで忘れられがち」な項目を見てみましょう。


①冷暖房工事


エアコンや床暖房設備です。20畳以上のスペースに適したタイプや、北国向けの寒冷地仕様タイプ(三菱電機の「ズバ暖」シリーズなどの場合、1台で20万円以上する機種もあります。新しい住居が3、4部屋あれば、冷暖房だけで(工事費も含め)100万円以上になることもあります。


②カーテン


マンションやアパートは、窓のサイズがある程度決まっているため既製品のカーテンで問題ありません。戸建の場合、既製品では寸足らずや床にカーテンがついてしまうことも。セミオーダーやオーダー品となれば、30万円以上も珍しくありません。


③照明


住宅全体の雰囲気を決める照明は、部屋だけでなく廊下、トイレ、お風呂などあらゆる場所に取り付ける必要があります。間接照明からシーリングライト、ペンダントライト、ダウンライトとその種類も豊富で、こだわり出すとかなり費用がかかってしまう項目でもあるのです。住宅事業者が取り扱う一流メーカー品を利用すると、商品によって開きはありますが、少なくとも20万円以上は見ておいた方がいいでしょう。インターネットショップでメーカー不問で検討するならば安く済みますが、不具合が起きた場合には責任の所在が分かりにくくなる場合もあります。


④家具


種類の豊富さで言えば、家具類もかなりの種類・量を揃えないといけませんね。テーブル、イス、ソファ、ベッド、ラグ、テレビ台、食器棚、本棚など。住み始めてから不便を感じないよう、しっかり予算を確保しておかないといけない項目です。こちらも商品によって差がありますが、少なくとも50万円以上は見ておきたいものです。ブランド品や造作、オーダーメイド品はさておき、100万円ほどの予算があると安心です。


⑤家電


せっかく新居に住むならと、白物家電やテレビなどの家電を新調したいという方は多いです。これら全てを揃えるとなれば、やはりかなりの出費を覚悟しないといけないでしょう。家電は新製品の入れ替えや技術進歩のスピードが速い業界で時代・時期によって必要な家電は目まぐるしく変わりますが、少なくとも50万円~100万円見ておいた方が安心です。もちろん現在のご自宅で使用している家電を利用するなら予算がぐっと抑えられます。また、家電で気を付けたいのは製品の耐用年数です。新築時に全て新調すると交換時期も同時期となる場合があります。数年後に「今年一気に家電が壊れてさ…」なんてことも想定しておく必要があります。


資金計画書に盛り込んでおくことで悲劇を防ぐ


今回用意した資金計画書では、上記5項目の総費用は350万円となっています。「カーテンとか家具とかで、そんな金額になるものなの?」と疑問に感じる方もいるでしょう。実際には、「これで収まれば安いくらい」とすら思っていただいた方がいいかもしれません。


ちなみに、今回の資金計画書での借入総額は3,900万円でした。今回取り上げた付帯設備費用は、最低でも借入総額の10~15%はかかると見積もったほうがいいでしょう。そのうえで、皆さんには「建物に付随する設備は、それくらいの費用がかかるんだ」ということをぜひ覚えておいてほしいのです。


付帯設備費用の現実を知るのは、将来的な失敗を防ぐためにも非常に重要です。業者が用意する資金計画書は、これら付帯設備費がしっかり含まれていることもあれば、別の項目に含まれていたり、含まれていなかったりするなどさまざまなケースがあります。


もしも、住宅ローンの借入額に付帯設備費用が含まれていなければ……。借入額とは別に、数百万のお金を別途用意しなくてはいけなくません。すでに数千万の借入があるのだから、プラス数百万しても大きな問題ではないだろう。……そう考えるには、この額は大きすぎるでしょう。また、融資実行(本審査通過)後では住宅ローンとしての増資は現実的ではありません。借入後にこうした追加費用の問題が発覚し、お客様と業者とでトラブルに陥るケースも起きています。借入れをする前に、見積書と資金計画書を見ながら、何が入っていて何が抜けているかなどきちんとチェックすることをお勧めします。


ものさしを合わせる


家づくりの費用は、付帯設備以外でもたくさんの項目でお金がかかります。資金計画書でそれらをまとめて目を通せることで、「意外とこの項目にお金がかかるんだ!」という認識を持つことができます。


これはお客様だけでなく、業者側も同様です。新築戸建はお客様のニーズでかなり自由に設計できるため、業者側も想定していなかった費用が明らかになることもあります。そういう意味では、資金計画書は皆さんと業者との認識のズレを共有し、家づくりのためのものさしを合わせるツールなのです。