リビング階段はあり?なし?メリット・デメリットを整理して後悔をなくそう

2024/9/3

「リビング階段に興味があるんです」。新築の戸建てが欲しいというお客様から、このようにリビング階段についてよく聞かれます。デザイン性が高い、家族とのコミュニケーションが増えるなどさまざまな魅力がある一方で、いろいろと不便な点もあります。


そんなリビングのメリット・デメリットを改めて整理してみましょう。

リビング階段は吹き抜けと相性がよくコミュニケーションも◎

リビング階段とは、リビング内に階段が設置されている間取りのこと。


従来の家は、基本的に玄関ホールや廊下に接続するかたちで階段がありました。開放的なLDKの間取りが主流となって以降、リビング階段はメジャーな選択肢になっています。


リビング階段の魅力はおおきく二つ。それは「開放感」と「コミュニケーション」です。


開放感については間取り次第ではありますが、リビング階段は吹き抜けとの相性がよいと言われています。リビングと階段が一体型になっていて、かつ吹き抜けが組み合わされることで、家全体がひとつの空間のように感じられるというメリットがあります。


またコミュニケーションについては、リビングと階段がひとまとまりになっていることで、家族が顔を合わせる機会が自然と増えます。子どもも親もひとり一部屋を持つ今の時代、家族間のコミュニケーションを増やす方法として、リビング階段が一役買うわけです。


コミュニケーションが増えるというメリットについても、吹き抜けと組み合わせることでさらにその魅力を感じやすくなると思います。

リビング階段の問題点は音・ニオイ・冷暖房対策

いいことづくしに見えるリビング階段。いろいろと困った点もあります。


ひとつ目が「音とニオイが伝わりやすい」です。階段を通じてリビングと2階がつながっていることで、それぞれの音やニオイが届きやすくなってしまいます。


リビングでの夕飯のニオイが、2階の子ども部屋や主寝室に届いたり、2階で子どもたちがにぎやかに騒いでいる音が、ゆっくり過ごしているリビングにも聞こえたりするわけです。


また、リビング階段を設置するうえで避けて通れないのが「冷暖房対策」です


リビング階段の冷暖房効率は、効率的だけれど非効率的でもあります。矛盾した説明なのですが、ここでポイントとなるのが「大きな吹き抜けのあるリビング階段かどうか」です。


大きな吹き抜けのある間取りとリビング階段の組み合わせは、1階と2階の2フロア分の空間を冷やすor暖めるために、大きなエネルギーが必要です。しかし、高気密高断熱の住宅であれば、エアコン1台でも快適に過ごすことができます。その点で、リビング階段の間取りは効率的と言えるわけです。


一方、「吹き抜けではないリビング階段」の場合は階段以外に空気の通り道がありません

リビングでの冷暖房の空気が階段を通じて上へ行ったとして、その空気は上にとどまり循環しないため、気温・湿度が安定しないのです。


この点を考慮すると、リビング階段はその間取りによって冷暖房効率が高くなるし低くなると言えます。

リビング階段のメリット・デメリットをワンセットで考える

リビング階段はいくつも魅力がある一方、快適な暮らしを確保するためにいくつかの対策が必要です。


例えば、リビング階段の魅力(コミュニケーションと開放感)と問題点(冷暖房対策)を同時に解決したい場合、大きな吹き抜けの間取りにするというプランが有効だと思います


その分、音やニオイはより伝わりやすくなるため、2階の個室の防音性・密閉性を高めるといった対策が必要でしょう。また、天井にシーリングファンなどを設置するなど、空気の循環を促す設備も必須です。


どうしてもリビング階段がほしい!という要望に対しては、デメリットを伝えたうえで、今回紹介した対策などを提案するようにしましょう。